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高校二年の冬。
二月。
生徒会長就任から四か月。
佐々泉水は会長席から見える壁掛けのカレンダーを見て溜息を吐き出した。その溜息は自分自身のことではなく周囲の雰囲気に対するもので、浮かれ気分の空気が蔓延した学校内に泉水はただでさえ引き継ぎの作業が完全に終わっていないのにと頭痛がした気がした。
会長職の仕事は多く、毎日残業と呼べそうな居残りをすることもしばしばで、その原因となっている前会長の相原知輝は、今は昨年の内に推薦で合格した大学での生活を想像しては泉水に話し掛けていた。
何度も暇なら仕事を手伝えと言いたかった。しかし相手はもうじき卒業する先輩である。泉水のプライドも相俟ってストレスを溜めるだけに留まっている。
バスケ部の要雄大は卒業前の告白ラッシュで毎日忙しく、クラス委員の宮脇由衣は同じく生徒会に入ったものの、卒業式の設営の会議で今は席を外していた。
泉水の仕事は卒業式の送辞の清書と、昇藍学院との合同の企画を煮詰めること。昇藍学院の生徒会長の有村将一とは小まめに連絡を取り合ったり会ったりしてはいるが、その他の小さな仕事を任せることは出来ない。
主に知輝がやり残した仕事である。
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