第1話

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確かに面倒ではあると同意する。 職員室の電話を使うには先生を介さないといけない。昇藍学院の先生と桐丘高校の先生、二人の先生を使うことになる。となればお互いに直接のやりとりをする方が時間の短縮にもなる。が、 「先生に聞いてみないと分からないよ。生徒会とは言え、全部の行事に関わっているわけじゃないし」 『そうなんですか?』 昇藍は違うらしい。 返事をするのが恥ずかしい。 私立校と公立校の違いなのだろうか。 「分かったら連絡する」 『お願いします。ところで泉水さん』 「何?」 『まだ帰らないんですか?』 悪気のない言葉に行き場のない怒りをどこにぶつけるか悩む。ぶつけられる 場所なんてないのではないかとさえ思う。 およそ問題児と呼んでも差し支えなさそうな前生徒会長様は今頃残りの高校生活を謳歌しているのだろうと考えると、思いやりなんて感情をどこかに置き忘れてしまったのか、椅子に縛り付けて仕事させたい。 「……そうですね。まだもう少し仕事しないといけないですね」 『では迎えに行きましょう』 どうしてその発想になるのか、数か月前から疑問に思っている。 .
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