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いやいや、話が脱線した。
「好き」という言葉を簡単に調べてみると、気に入って心が強く惹かれるだの、物好きであり見境なく好んだり偏って愛するさまだの、ピンとこない文章で綴られている。
ネットで軽く調べる限りでも、ある種の快感や高揚感を伴う特定の行為を繰り返し行った結果、それらの刺激を求める抑えがたい欲求が生じ、逆に刺激がないと不快な症状を生じる状態のことであると公式の機関で定義されている。
これもよく分からない。
子孫繁栄の概念の延長だとかそうじゃないとか、生物学的な一説もあるはするけれど、個人の感覚での話はどれも曖昧なものしかない。
少女漫画が言うところのなってみれば分かるという説も信じがたいものがある。
「好き」を知らなければ実際に体験したところでそれが本当の「好き」であると誰が評価してくれるのか。勘違いの感情だったとしても当人がそれを「好き」と認識してしまえばそれはもう「好き」なのではないか。
『泉水さん?』
まだ電話が繋がっていたことに今更ながら驚く。
必要なことは全部話した気になっていたらしい。
「あぁ、ごめんなさい。ぼーっとしっちゃって」
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