素直になれなくて

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弟の頼雄が修学旅行から帰ってきた。 「はい、これ、お土産」 可愛い弟は、私にお土産を買ってきてくれていた。 「サブレ一枚?」 「おう」 「これ、旅館のお茶請けでしょ??」 「バレたか」 「バレたか、じゃない!ねぇちゃん小遣いまで渡したでしょ?」 「嘘だよ、ほら、お守り!」 頼雄は、バッグから小さな紙袋を出して私に放り投げる。 「…………恋愛成就」 「早く彼氏出来たらいいな!」 余計なお世話よ。 弟は、国立競技場を観てきたらしく、ますますサッカーへの熱が高まったみたい。 「ねぇちゃんの学校に、島沢まさとさんているだろ?」
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