4/19
前へ
/26ページ
次へ
「お前はそれでいい! …まあ、簡単に言うとだな、葉月の話が突発的すぎて引く暇もなかったし、しかも内容すげーおもしれーじゃん? ホモがどうのこうのの前に、そっちに気を引かれたんだよ!」 「面白がらないでよ、さっきも言ったけど、僕結構真剣なの」 「お前が真剣になってても内容がシリアスぶち壊しだろ?」 ………何も言えねえ。 「とにかく、だ。葉月、幸いなことにあっちは馬鹿だ。純粋馬鹿だ。せっかくこんなに喜ばれてんのに、お前はそれを裏切るのか?」 「え、うん。だって僕の人生がホモ人生に」 「しゃらっぷ!!話を聞いてくれるやつじゃない、ってことはお前の話で十二分に分かった。 葉月だってわかってんだろ? だからな、ここはだな、デートとかしていくうちに、さりげなく気づかせるのがいい。 何ならカラダをささげても」 「ふぁっくゆー!!」 あの時は羞恥を捨てたけど男!男に僕の初めてをあげるのっ!? やだよ、それこそ絶対に嫌だよ! 「じゃあ葉月、髪切りゃあいいじゃねーか。前髪なきゃそれなりに顔整ってるし、肌白いし。…まあ、女っぽく見えなくもない。だが、そうしたら即万事解決だろ」 ハルが重たい僕の前髪を触ってかきあげる。 視界が明るくなって、反射的に片目を瞑ってしまう。 確かにそれが一番効率がいい。 前髪を切って、いや、むしろ全体的に切って僕の中性的な男の顔を全面的に晒す。 …でも、それだけは、僕はできない。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加