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僕はお金がなくて特待生でいるために偏差値が低い所を通っているけど、僕の大学は柄の悪い子たちばかりで彼らとは一回も話したことがない。
つまり僕にここでの友達はいないんだ。
この子と話すのはおろか、見たのだって初めてだし。
名前だって知らない。
茶色く染めた髪に、少し白い肌。
僕の場合髪が黒くて病的なまでに白いけど、彼はいい白だ。
中身も見た目も少しやんちゃっぽいかな。
しかもこの沈黙をなんだと思ったのか、
「沈黙は肯定だって言うよな!ってことはお前オッケーってことでいいんだろ?」
こんなことを言う始末にまでなってる。
すごく強引だ。
しかもこの子、本物の馬鹿だ。
絶対馬鹿だ。
「俺、藤里 透!よろしくね!葉月ちゃん!」
なんて、僕のことを女の子呼びして。
右手を出されて、…これは握手しなきゃいけないのか?
いや、今ならまだ断れる!
出された右手を両手でそっと牽制する。
「……えっと、藤里、クン?僕…」
「んな藤里じゃなくていいよ!透!透って呼んで!」
遮られた!
諦めるな僕!
「……じゃ、じゃあ、透クン。あの、あのね、聞いて欲しいんだけど、」
「葉月ちゃんってやっぱり少し声低いんだな!」
聞いちゃいねえ。
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