映画「世にも怪奇な物語」--第一話「黒馬の哭(な)く館」

7/7
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/993ページ
つまり、作り手は彼女のあり方を否定していない。 ステレオタイプな官能の快楽に興じていた高貴な美女が、一度は犯した罪に改悛したかに見えたものの、それは実はまた別な形での快楽に取り付かれる端緒であり、最後はその中に溺れて死んでいく。 そんなメロドラマ的なストーリーを監督の妻であるジェーン・フォンダ主演で耽美的に映し出すのが、この作品の本当の目的に思える。 率直に言って、恐怖譚として観ると食い足りない感触は否めないし、展開や結末にも意外性はない。 しかし、後発の「世にも奇妙な物語」シリーズが恐怖譚や因果応報譚のイメージが強く、ポーの作品の魅力である耽美性やロマンティシズムを追求した作品は乏しいことを鑑みると、これはこれでやはり貴重な作品だとも思う。
/993ページ

最初のコメントを投稿しよう!