映画「世にも怪奇な物語」――第二話「ウィリアム・ウィルソン」

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最後は、冒頭の教会のある街で士官の職を得てからのこと。 凛々しい軍服姿に身を包んだ彼は社交界でも持てはやされ、遊蕩の日々に興じていた。 そんなある日、出入りしていたカジノで偶然、捩れた恋愛関係にあった貴婦人が他の男と一緒にいる場に鉢合わせする。 プライドを傷付けられた彼は、いかさまを用いて彼女をポーカーで負かし、衆人環視の中、彼女の背を裸にして鞭打つ。高慢な美女にとっては陵辱にも等しい仕打ちだ。 だが、そこにもやはりもう一人のウィルソンが現れ、いかさまのやり口を暴露する。 卑劣な陥れに激した女性からは平手打ちを食らわされ、居合わせた上官から免職を告げられるウィルソン。 恋も名誉も同時に失った彼は、もう一人のウィルソンを追跡し、短剣で刺し殺す。 地に倒れた男は虚ろな目で呟いた。 「どうして、僕を殺す」 「これで、全ては終わりだ」
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