映画「世にも怪奇な物語」――第二話「ウィリアム・ウィルソン」

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ウィルソンが増長し、悪辣さをエスカレートさせていく過程にこうした周囲の盲従的な態度が追い風になっていることは言うまでもない。 が、裏を返せば、彼は悪事を働いていても他人を自ずとかしずかせてしまう存在ということでもあり、アラン・ドロンの冷徹な美貌はそれだけの視覚的な説得力を備えている。 小説と同じく悪事を極めようとするその瞬間にもう一人の自分に阻止される展開ではあるものの、映画はそもそも彼と拮抗し制止し得るのは彼しかいないと思わせる物語に微妙に変質している。
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