二月、第二金曜日

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 ここの冬は陰気臭い。  家の裏の海さえ色が沈み、冬枯れが否応なしに気分にまで押し寄せてくる。  しかも日も陰って一層もの悲しい我が家の駐車場――ただバイクが一台停まっていて、それが見慣れたあいつのものだと判った瞬間、落ち着きかけた心臓が一段と強く鼓動する。  俺の留守中にやつが来ている。  部屋には留守番の唯だけ――十二分に、不安材料だ。 「……」  駐車場に乗り入れた俺は、同時に、階段を下りてデッキに現れた人影にも気付いた。  黒革のライダースとジーンズを纏ったその男は、白と黒の格子縞のマフラーを巻き終えた手をだらりと下げ、俺を見た。 「やあ」  ――部屋から出て来たのかと、胸の中がざわめく。
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