二月、第二金曜日

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 先程までやつと――考えただけでも忌々しい――話をしていたのなら、後片付けなり何なりで唯はまだリビングかキッチンにいると思われた。  しかし二人がいた筈の部屋は、実に寒々としている。  ストーブくらい買え――別れ際のあいつの言葉が脳裏をよぎった。 「……やっぱり、要るよな……」  自転車を壁に立て掛け、ヘルメットとグローブを脱ぎながら呟いた。  先月の入籍日に二人で揃えた、左薬指の指輪に目を落とす。  冷え込むのはどうせ一時期だから要らないと、唯が頑なに拒むのだ。  あの肌をじりじり焼かれるような熱が嫌で、むしろ寒い時に布団にくるまってぬくぬくするのが好きなんだ、と。  体調でも悪くしたかと考えた時には、俺の足は自然と寝室へ向かっていた。
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