第1話 ヴィルヘルムという男

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クルスは長年、前首相の軍事政権の為、反政 府派との内乱が続き、今回ハビブ首相が 就任する事で終止符が打たれる事となった。 「積み荷の搬出を手伝わないといけません。 僕は失礼しますが、用件があるならば執事の コンラートに申し付けて下さい。」 コンラートを前に押し出すと、ヴィルヘルム は爽やかに去って行く。 「殿下!」 (逃げやがったな。) 「ルーデル大佐。」 「何だ早いな。もう戻ったのか?」 「着替えたら手伝います。礼服はどうも窮屈 でいけません。」 笑いながらヴィルヘルムは輸送機の中に消え て行った。 「面白い男だ。あれで皇太子なのだから。」 ルーデル大佐は笑う。 「殿下の働き者には困ったものです。おかげ で誰一人とサボれませんから。」 兵の一人が作業しながら、笑って言った。 「確かにな。」 「殿下ー!」 「全くどこに…あ。ルーデル大佐、殿下はど ちらに?」 「着替えると言って、輸送機に戻ったが。」 「そうですか。ありがとうございます。」 コンラートは一礼すると、ヴィルヘルムの後 を追う。 「執事君も大変だな。」 ルーデル大佐はコンラートの背中を見送った。
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