第1話

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額から流れる汗をサッと袖で拭い、塗りの剥げた鳥居を潜る。 ーー瞬間、我が眼を疑った。 あまりにも人気がなく、いつしか神主すら居なくなったこの神社。 そんな寂れた神社の境内に一人の少年が立っていたから。 少年はただただ、古びてボロボロになった本殿を眺めている。 どうしてそんな事をしているのか。 考えても理由なんて出てこない。 でもーー彼の後ろ姿は、とても綺麗だった。 毛先に少し癖のついた艶のある黒髪。 雪のように白い肌。 そして、モデルでもしているのではないかと思わせるプロポーション。 そんな少年に、私はいつしか釘付けになっていた。 ーーそよ風がそっと頬をなぜる。 刹那、少年が踵を返した。 あれから幾分経っただろうか。 やっと動いた少年は、私を視界に入れるなり、優しく微笑む。 まるで、天使のように。
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