第1話

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何故だか胸が高鳴った。 それに、なんだか身体が熱い。 暑さのせいだろうか? それとも、これが恋? いや、そんな事あるわけない。 生まれてから今まで、一度も異性に好意を持ったことなんてないそんな私が、一目惚れなんて… 「こんにちは。」 ーー透き通ったアルトボイスが、私の耳を刺激した。 不意に声をかけられたせいで、また一段と跳ね上がる心拍数。 その音が少年にも聴こえてそうで、私は思わず、眼を伏せる。 「こ、こんにちは…」 恥ずかしさのあまりか、はたまた喉が渇いているせいなのか、声も上手く出ない。 ーーこんな事は、初めてだ。 いったいどうしてしまったのだろう… 「あの、大丈夫ですか?」 一瞬、何をされたのかわからなかった。 少年の手が、私の額に触れている。 あまりに突然のことで少し身体が強ばるが、不思議と嫌な気はしない。 寧ろ心地が良い位だ。 例えるならそう。母に手で熱を測られているような、そんな感じ。 ーーとても、落ち着く。 自然と瞼が落ちようとしたその時ーー少年の手が、そっと離れた。 「すいません。少し様子が変でしたので、熱でもあるのかと。不愉快でしたよね。」 「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。」
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