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何故だか胸が高鳴った。
それに、なんだか身体が熱い。
暑さのせいだろうか?
それとも、これが恋?
いや、そんな事あるわけない。
生まれてから今まで、一度も異性に好意を持ったことなんてないそんな私が、一目惚れなんて…
「こんにちは。」
ーー透き通ったアルトボイスが、私の耳を刺激した。
不意に声をかけられたせいで、また一段と跳ね上がる心拍数。
その音が少年にも聴こえてそうで、私は思わず、眼を伏せる。
「こ、こんにちは…」
恥ずかしさのあまりか、はたまた喉が渇いているせいなのか、声も上手く出ない。
ーーこんな事は、初めてだ。
いったいどうしてしまったのだろう…
「あの、大丈夫ですか?」
一瞬、何をされたのかわからなかった。
少年の手が、私の額に触れている。
あまりに突然のことで少し身体が強ばるが、不思議と嫌な気はしない。
寧ろ心地が良い位だ。
例えるならそう。母に手で熱を測られているような、そんな感じ。
ーーとても、落ち着く。
自然と瞼が落ちようとしたその時ーー少年の手が、そっと離れた。
「すいません。少し様子が変でしたので、熱でもあるのかと。不愉快でしたよね。」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。」
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