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私の返事に彼がまた微笑む。
と思った矢先、次は真剣な顔つきで私を見つめてきた。
「すいません。やはり熱が。」
少年の手が、再び私の額に触れる。
だが、今度はあの懐かしい温もりを感じる暇もなく、直ぐに離された。
少し名残惜しい気もするけど、きっと気のせい。
「少し、熱いですね。もしかしたら日射病かもしれません。」
言われて見れば、確かにさっきから熱っぽいような。
それに、身体もダルい気がする、
ーーあれ…?なんだか意識が、遠のいて…
突然、視界がぐらついた。
一気に全身の力が抜けていく。
倒れる。そう思った。
でもーー私の身体が地面に伏すことはなく、代わりに倒れ来んだのは、少年の腕の中。
もちろん狙ってやった訳じゃない。
偶然にも倒れた方向に彼が居て、たまたまそれが腕の中だけだった話。
どちらにも悪気はなく、いやらしい企みがあるわけでもない。
だけど。結果的に私達は抱きあってしまっている。
所謂ハグという奴だ。
いや、そんなことはどうでもいい。
とにかく、今すぐ此処から逃げ出したい。
なのに、どうしてこの身体は言うことを聞いてくれないんだ…
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