栗本さんの憂鬱な日々 1-2

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ビックリしたのは女将さんも同じだったようで、くりっとした目を真ん丸にした。 「あらー、そうなの」 「す、すみません」 何故か謝ってしまう私。 「あ、ごめんなさいね。ビックリしただけなの。大和さんが連れてくるお客さんってお仕事関係の人が多いから」 ふふと笑って女将さんは「何、飲まれるかしら。日本酒はお好き?」と優しく聞いてくれた。 だけど私はそのことよりも、大和が今までプライベートで女性を連れて来た事がないお店に連れて来られた事の方に気を取られて、曖昧な返事しかすることができなかった。 だって何だか嬉しいと思ってしまったから。 そんな自分に戸惑ってるうちに、目の前には日本酒の入った透明なグラスが置かれて、私は初めて自分の状況を理解した。 「え、わ、私、お酒はっ」 「何言ってんだ、ザルのくせに」 「そ、そうじゃなくて。大和、車でしょ。私だけ飲むなんて……」 小さい声でゴニョゴニョと反論したけれど、目の前に出されてしまった以上、もう今更だ。 仕方なくチビリと久しぶりのアルコールを口に運んだ。
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