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「次はオレハジャ・イアン!」
「はい!」
とある世界のとある都のとある学校。そこではある特別な授業が行われていた。
「やり方は分かってるな?」
「勿論だぜ!」
その授業が取り行われている場所は、学校の校庭。先生が5人、五個ある幾何学的な文字が描かれた陣に付いて生徒の補助をしていた。
「では、始め!」
「うぉぉぉぉおりゃあッ!!」
陣の上に立った生徒は、魔力ではない何かを力任せに陣に流し込んでいく。先生はそれを注意しながら見守り、時々あらぬ方向へと飛び出そうとする何かを弾いていた。
すると、突如陣から光が溢れだす。
「…………よっしゃ! 竜だ!」
光が収束すると、生徒の目の前に体長五メートルは優に越える大きな竜が出現していた。生徒はそれを見て大いに喜び、見守っていた先生や端から見学していた生徒も感嘆の声を鳴らす。
しかし、一人だけつまらなさそうにその姿を見ている生徒がいた。
(…………こんな公開処刑の何が楽しいんですか。これなら家でゲームしている方が億倍楽しいです)
その生徒は見麗しき女性であった。
それはそれは端正な顔立ちをしており、顔のパーツが1つもずれていない。垂れても尖ってもいない無気力な眉毛と、他人をただの有象無象としか感じてなさそうな濁った瞳がズレていると錯覚させるのが勿体ない。
髪は頭の両端に結われている……のだが、その頭にツインテール特有の髪の毛が集まっている様子はなくショートボブに小さなツインテールが取り付けられたような髪型だった。
ただ、異常なのがその紫色の髪と瞳である。
他の生徒も赤、青、緑など奇抜な髪色を持っているのだが、その生徒達の中でもかのは異質な存在感を発していた。それもそうだろう……紫なんて彼女しか居ないのだから。
『アイツまだ居るのかよ……早く消えてくんねぇかな』『あんな目を見てるだけで穢れそうな感じがするわ……ホント邪魔』『その癖顔とかスタイルは抜群なんだよな……マジ犯してぇ』
地球に存在する常識人ならゾッとするような会話なのだが、彼女はそれが耳に入ってないかのようなフリをして無視していた。
(これだから有象無象は嫌いなんですよね…………)
無視をする理由。それは彼女が他人を限りなく見下しており、下の者の戯れ言なんて言い返す気にすらなれなかったからだ。
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