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外で鬱憤を晴らしてきた俺は、少しげんなりとした様子で理事長室に戻ってきた。
「何してたのですか?」
「いや……ちょっと、な……」
「そうですか…………まぁ、ミレアもこのキャラは需要無いと思いますよ」
「聞いてたのかよ!?」
「あんな大声で聞こえない方が不自然ですよ。理事長にも聞こえてましたからね?」
「うん☆ バッチシ☆」
「それもそうか…………」
ヤバイ……目を瞑れば何とかなると思ったけど、目の前に爺が居るって連想しちまうから何しても意味がない……!!
俺は迫り来る吐き気を抑えるために脇腹をつねりながら話を進める事に。
「ミレア、何でこんな奴に会わせたかったんだ?」
「セイムの制服を新調してもらうためです。まともな教師が居ませんから、唯一マトモなこの理事長に頼むしかないんですよ」
「アハッ☆ 照れるなぁ☆」
何故だろう。一番マトモじゃない気がする。
俺がこの世界の判断基準に頭を悩ませようとした時、理事長の前にいきなり制服が現れた。
「は~い☆ これ君の制服ね~☆」
「は、はぁ…………」
俺は不審に思いながらもその制服を受け取る。
それは黒の学ランで、従来のボタン式ではなくチャック式の学ランだった。スラックスも何ら変わりない普通の物。サイズも今の俺に合わせて作られている。
「今のは……一体……?」
「あぁ、理事長のすることは気にしない方が良いですよ。噂は諸説あるのですが、一番有力なのは『何でも叶えてくれるオリジナルの精霊法を編み出した』らしいです。そんな事はあり得ませんけどね………」
「そうだよぉ☆ ボクは普通に生成精霊法を使っただけだからねぇ☆」
そんな答えを提示してくれた二人だが、やはり俺は腑に落ちない。普通に生成精霊法を使っただけ、と言っているが、モーションも何も無しに一瞬で物を生成することが可能なのだろうか?
コ○ンばりに考えながらチラッと理事長の方を見ると、「アハッ☆」と言いながら微笑みを向けられた。
くそう、吐き気が止まらない。
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