禁断の御業

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「…………ん? 何処だ…………ここ?」 俺は確か……【王】の世界、不変界に居たはずなんだけど…………てか、何だこの世界……? 俺は周りの景色に思わず目が奪われてしまう。何故なら…………そこは食べ物ばかりだったから。 各種野菜フルーツはもちろんのこと、ケーキやチーズ、ドーナツやグラタンなど意味不明な物までもが、空中に浮遊していたり世界の一部として存在していた。 「……品質も最高だ…………超越状態のアポロに匹敵するぞ……」 アポロとはあらゆる林檎を超越した美味さを持っている究極の林檎。本当は戦闘目的に使う真器というものなのだが、林檎として使うのが一番良いと思っている。 「……ふぉふぉふぉ。どうじゃ? わっちの世界は?」 「───っ、誰だッ!?」 後ろから突如声が聴こえて、俺は振り返りながら飛び退る。 「…………は?」 「何じゃその顔は……? むっ……まさかわっちに見惚れてるのかの?」 「それはない」 「即答は無いじゃろて!?」 見惚れてはいないのだが、俺は自分の目を疑いたくなった。余りに妖艶な声で爺臭い言葉を使用しているのにも関わらず……姿は幼女だったからだ。 俺の腹くらいしかない幼女。小さいな。 「わっちは『ぷりてぃー』なのにのう…………全く失礼な奴じゃ」 「確かにプリティーだな、小さい方の意味で」 「うるさいうるさいうるさい! わっちの悪口を言うなーッ!!」 あっ、そういえば声がくぎゅうに似てるんだよな。何か聴いたことあるんだなぁって思ってたんだよ。 「……んで? ここは何処だ? 何でか俺のユニークが働いて居ないんだが?」 そこら中に食い物が浮かんでる世界を知ってるが、ここまで品質が異常な世界は見たことがない。他の食物大好きなチートも連れてきてやりたいくらいだ。 「ゆにーく? 何じゃそれ?…………まぁ、とにかくここはわっちの世界じゃ」 「お前の世界なのか…………どうしてこんなに食べ物ばかり? 食べ物が大好きなのか?」 「それもあるのじゃが……わっちはお主らが【食べ物】と呼んでいる物の主なのじゃ。皆はわっちを【食べ者】と呼ぶのう」 「我らが神様よ。リンゴを作ってくださりありがとうございます」 幼女の正体が分かった俺は膝をついて幼女を崇めるようなポーズを取る。リンゴの主でもあるこの幼女を敬わない訳にはいかない。
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