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ほら! 画面の向こうの皆も頭(こうべ)を垂れるんだ! 君達が大好きな食べ者さんだぞ!
「正体が分かった途端にそれか……調子の良い奴じゃのう」
「正体が分からなかったらただの幼女だからな。敬う要素が見当たらない」
「しょ、正直者じゃのう……!!」
わっ、雲が綿飴でできてるぞ。子供なら大喜びしそうな世界だな…………大人でも特定の奴なら大喜びだとは思うが。
「…………はぁ、それよりお主は何故わっちの世界にやってきたのじゃ? かなり見つかりにくい次元に隠しておいたのじゃが……」
「知るか。こっちが訊きたいくらいだ」
いつの間にかこの世界に居た訳だし…………何でかユニークは使えないし。チカラは難なく発動するんだけど。
「やっぱりわっちのぷりてぃーさを──」
「俺の嫁の方が何万、何億倍…………いや、数字で換算できないほど可愛いな」
「わっちお主嫌い!」
いや、確かに食べ者も可愛いとは思うけど…………やっぱフーレスに及ばないよな。
「そんなお主にはこうじゃーッ!!」
「うぼっ!?」
た、食べ物が……口の中に……雪崩れ込むように…………。
食べ者が空に手を翳すと小さな食べ物が辺りから飛来してきて、俺の口の中目掛けて雪崩れ込むように流れ込んでくる。何故か食べ物はすぐに飲み込む事が出来て、その所為で止まることなく喉の中を食べ物が蹂躙していく。
「───ッ!?」
俺はその途中で見てしまった。いや、目の当たりにしてしまったのだ…………。
その見た目は紛うことなき赤い果実。時には甘さを備え、時には限り無い酸っぱさを秘めている悪魔の果実。たわわに実ったそれは果実などではなく、正体は野菜。
栄養価もかなり高く、様々な料理に使われているのは皆も知っての通りだとは思われる。実際に俺も見たことがあるから。
だが、それは決して美味しいと胸を張れる食べ物ではないと断言できる。林檎に比べればそれは塵芥よりも酷い味であり、世界に存在する事を許し得難くするほどの風味。
「…………あっ……うっ」
そう、俺が意識をまたもや失う直前で見たものとは…………。
────数多の食材に紛れ込んで俺の口の中に侵入を果たし、さらに食道を通って胃に到達してしまったトマトであった。
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