どんな山にも危険は付き物

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あー、やっぱり再生に時間がかかるなぁ。 話はずっと聞いてたんだけどさ、体がまるで言うことを聞かなかったんだよ。多分、心臓が破壊された痛みで、脳が警鐘を鳴らした所為だとは思う。 痛みに慣れたと思ったんだけどなぁ…………体が小さくなってからそっちの耐性も無くなってるみたいだ。 「何で生きてやがる…………確かに心臓を刺した筈だ」 さて、そんな事より今は目の前の件だ。 「確かに心臓を刺された…………でもそれで俺が死ぬとは限らないぜ?」 いや、どうやっても死なないけどさ。俺を殺したければユコラを殺せるようにならないといけない…………つまり無理ゲーってこった。 空間や世界を破壊する事はできても、そこにある【場】を破壊する事は絶対に不可能だ。無すらも【場】の1つであるからだ。 「化け物かよ…………しゃあねぇ、全身跡形もなく燃やし尽くしてやるよ」 そう言って手から炎を出現させるユーラの兄。 「はんっ…………やれるもんならやってみな。油断さえしてなけりゃお前の攻撃なんて簡単に避けられる」 そう言って懐から札を複数取り出す俺。 そんな今にも戦いが始まりそうな一触即発の雰囲気を醸し出す俺達に、おそるおそる近付いてくる者が居た。 「…………私も……戦う」 目の前にいる男の妹であるユーラだ。少し体が震えているが、その瞳は戦う意志を宿して兄をずっと見詰めている。 よく見ると後ろのミレア以外の二人も戦いの準備を始めている。ミレアは虫かごの中の、なんとかかんとかカブトと戯れていた。 「ちっ…………四対一は流石に面倒だな。なら…………来い! グルス!!」 戦いの姿勢を見せた後ろの二人を見て舌打ちしたユーラの兄は、いきなり上を見上げて俺の知らない名前を呼ぶ。俺達もその視線につられて上を見ると…………そこには衝撃の光景が広がっていた。 「太陽が…………割れてる?」 俺はここで昨日あった出来事を思い出した。暑さに嫌気が差して冗談半分に太陽に精霊法を放つと、何故か割れてしまったことを。 あの時は少し不思議に思ったくらいだが…………今なら分かる。あの時からユーラが憂いたような表情を浮かべていたのは、この事を予見していたからなのかもしれない。 そして、今から出てくる者も大体分かる…………これと同等の気配を持つ者と会ったことがあるからだ。 【我を呼んだか…………イグリスよ】
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