残虐から始まる物語に唾を吐く物語も多い

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 倒れた小無雁の後ろから見えたシルエットは、中学生だろうか。背丈は低く、子供であることを強調するようなポップな髪留めをしている。返り血を浴びたセーラー服は夕日に同化してどこが赤いのか見分けがつきにくい。  顔に張り付いた笑みは、今そこに自分が生きていることを証明しているような、魂そのものが燃えているような、生気にあふれた瞳が強く印象に残った。  そして、その手には、デジタルカメラで見たものと同じ、アウトドア用の手斧が握られていた。  本能で認識した。  この少女こそが、行方をくらませていた祢宜ケ沢上光春そのものである。
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