紅の月

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「ユウ様、お酒のお代わりをお持ちしました」 月を見ながら酒を飲むユウに成実は声を掛ける。 ユウは頷くと 「成実、今宵は褥は一組で良い」 「…ユウ様、お怪我は大丈夫ですか?」 「問題無い」 ユウの返事に成実は頷くと部屋を出た。 月を眺めて酒を飲む夜は必ずユウは成実を求めた。 魔族の子を生ませる為に魔界に連れてこられた成実だったが、成実は子が産めない体だった。 本来ならば魔族の性奴隷になる所を、ユウに救われ身の回りを世話する役を貰った。 「お前は、人間界には戻れないが…私の屋敷ならば魔族は来ない。少しは穏やかに暮らせる」 ユウはそう言うと、成実を屋敷に連れて行った。 それから成実は、ずっとユウの世話や屋敷の管理を任されている。 男女が一つの屋敷に住む。 しかも魔界という人間には敵の世界で生活する2人が男女の関係になるのは至極当然の事だった。
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