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(・・・何でこんな事になってるんだっけ?)
シロエは、笑顔で、しかし不機嫌そうな雰囲気を醸し出しながら自分を組敷いている人物を見上げながら、どうしてこんな事になったのか混乱する頭で事の顛末を思い出していた。
(えーと・・・今日はクラスティさんと円卓会議の打ち合わせがあったから、D.D.Dのギルドキャッスルに来て、打ち合わせ終了後帰り道にソウジロウとあって・・・)
それから少し話して、ギルド会館に寄って自分のギルドに帰っている途中で、自分を組敷いている人物、クラスティに拉致られ連れて来られたのは彼の個人ゾーンであった。
そして、冒頭の思考に至る。という訳である。
「何でこんな事になったのかな?って思っているでしょう。」
白皙の美貌に柔らかな笑みを浮かべつつ、それでもいつもよりも若干不機嫌そうな声でシロエの思っていた事を聞いてくる。
「えぇ。いきなり拉致られれば誰だってそう思いますよ。」
困惑しながらも、そう返せば
「シロエ君。今日は何の日だか知ってますか?」
と、いきなり尋ねられる。
「今日ですか?打ち合わせは終わりましたよね?他に何かありましたっけ??」
シロエが心当たりが無いという様に、首を傾げればこれ見よがしにため息をつかれる。
「ホントに分かってないのか、わざと惚けているのかどちらですか?」
「何の事ですか?」
そう答えつつも、じっと自分を見つめているクラスティの視線に負けて、明後日の方向を見てしまうのはしょうがないと思う。
「後者ですか。」
そんなシロエの様子に、苦笑混じりに呟かれる。
「・・・沢山頂いていたじゃないですか。僕1人に貰わなくてもどうってことないんじゃないですか?」
なんでもないような風に言ってはみたものの、今日のクラスティの執務室を思い出せば、微かに苦いものが混ざってしまう。
「おや?ヤキモチですか?」
「なっ!?ち…違いますよ!!」
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