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「ニャハ?」
青葉さんがデスクの下からニョキリと現れた。
……てか、ずっといなかったよね?
……てか、てか、何でここから出てくるの?
相変わらず、音もなく現れる。この人は本当は猫なんじゃないかとよく思う。
「何て殺風景なトコだい?」
「バカ野郎!最初っから大したトコじゃねぇって言ってたじゃねぇか」
「アーラ。お前さん、のっけからこのアタイをバカ呼ばわりしようなんざ、十年早いってモノよ」
「てやんでぇ。昔、歌舞伎を見た日から女みてぇな格好しやがって。江戸っ子の名がスタらぁ」
な、な、な、何なんだ?
青葉さんがデスクの上に人形を置いたまでは理解できる。
片一方は時代劇に出てくる町民のようで、捻り鉢巻なんかして、教科書で見た火消しにも見える。
もう片一方は薄紅色の着物姿で女性のようにも見える。けれども、もう片一方が言うように歌舞伎の女形のように顔は真っ白に塗られ、口にはちょこんと赤い紅が塗られていた。
……てか、どう見てもちっちゃいオッサンが女装しているようにしか見えないんですけど。
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