440人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいなあ、藍原。流水さんに胸を貸してもらえて」
他の中学生達が羨ましがり藍原は取り囲んだ。
等の本人は、毅然としているようではあるが、心なしか口元がゆるんでいる。
「どうだった?」
主将が俺を見下ろした。
「どうもこうも…完敗ッス…強いッスね」
「だろ?チビッ子剣士の頃から表彰台の常連だから」
バンバンと俺の肩を叩く。
「早く言ってくださいよ。もう…自分の弱さを痛いほど思い知らされたッスよ」
「ははははっ…アイツがけた違いなんだよ」
「本当に強い。強さの質が違う。アイツと是非全国でやってみたい…」
「残念…高校では無理だわ。流水がダブらない限りカブらないわ」
そんなに下なのかよ…
中高生の一年は大きいんだぞ。
くそっ、余計悔しいじゃないか。
「昔から無表情な慎之助のあんな嬉しそうな顔、俺も初めて見た。先生が言うには、流水は慎之助の憧れの存在だってよ。せいぜい、少年の夢を壊さないでやってよ」
簡単に言ってくれるよな。
本気スイッチがもうひとつ入っちゃったよ。
「絶対に、全国までいってやる」
「言うね~」
「次にやる時に弱いまんまなんて自分が許さない…」
「期待してますよ~」
主将はそう言って笑った。
最初のコメントを投稿しよう!