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次に行った学校は―――
(なんて昭和な学校なんだ…)
授業もまともに成り立たない、机の数より頭数が揃わない男子校だった。
服装はメチャクチャで、髪は花が咲き乱れるようにカラフル。
校舎に至ってはトイレのドアは鍵が掛からず、持っていないと御開帳状態だし、あらゆる場所に落書きやゴミだらけ。
だが、剣道部はなかなかの成績みたいだし、残りの高校生活はここで頑張るしかない。
「流水颯太です。よろしくお願いします」
担任の横で頭を下げる俺の話なんて誰も聞いてそうにない。
「ぐああぁっ…遅なってもうた」
後ろのドアから誰かが慌てて入ってきた。
耳にはたくさんのピアスをつけ、肩より少し長い髪は金色で所々に赤い色が入っている。
「和久田っ!静かに入れ」
「間に合うたさかいええやんけっ!ごてごて言うなや、うるっさいのう!」
和久田(わくた)と呼ばれた生徒は『あ~眠たい…早よ寝よ』と、窓際の一番後ろの席へと着いた。
「あ…なんや?誰や、アイツ?」
ふと制服が違う俺が立っていることに気がついたのか、俺を指差し前の席の生徒に聞く。
「転校生…と思う。名前は…なんちゅうたかな?」
前の席の生徒は困った顔をして頭を掻いている。
「流水颯太…今日からこの学校でお世話になる。よろしく…和久田くん」
和久田はキョトンとした顔をし、回りの生徒は目を丸くして俺と和久田を交互に見る。
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