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和成さんの言葉が
塞がることのない傷に
強烈に沁みる。
『人は辛い思いをした分、
人に優しくなれる』
それは秋人がいつも
私に言っていた言葉だ。
琉惺は和成さんの事を
良くは言わなかったけれど
この人だって大切な…
…絵里さんを亡くしたんだ。
だからこんなにも壊れた私に
優しく出来るのだろう。
───だけど。
「和成さん…。
ごめんなさい。
やっぱり私は…
…あなたを愛せない」
放った言葉を
彼は悲しそうに笑った唇で
静かに塞いだ──。
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