プロローグ

2/2
前へ
/85ページ
次へ
赤城真司は比較的不幸な人生を歩んでいると自覚していた。 高校生の身で自殺しやがった両親が残した多額の借金に翻弄されていると言えば、彼の不幸加減がよく分かると思う。 自殺で手に入るはずだった保険金で借金を返す予定だったようだが、敏腕刑事にすべて見破られて保険金は手に入らず。 残ったのは多額の借金とヤバい連中だけ。 どうせなら連中も何とかしてくれれば刑事って生き物に感謝するところだが、今のところ連中が捕まる気配はない。 (くそっ。連帯保証人になったせいで借金地獄とか典型的すぎるだろ) 両親は甘すぎた。 優しい、なんて言えば聞こえはいいが、その結果が地獄なら優しさなんて捨てておけばよかったんだ。 (俺はそうはいかねえ。この『遊戯』を生き残って、人生やり直してやるッ!!) 赤城真司が背負っている借金は俗に言う闇金だ。 きちんと対処すればチャラにできる可能性もあるのだろうが、ただの高校生にその方法なんて分からないし、今はそれ以上の『方法』を手にするチャンスがある。 『お遊戯会』。 超常的な存在が主催する、ゲームのような殺し合い。 生き残れば願いを叶えて貰える。 何だってできるあの女が赤城真司にできないことを成し遂げてくれる。 だから。 赤城真司は願う。 (お母さんとお父さんを死に追いやった元凶ッ。連中全員地獄に叩き落としてやる!!) 連中はかなり大きな組織のようだ。 それこそ警察が迂闊に手を出せないほど。 が、この『遊戯』を生き残ればただの高校生が巨大な犯罪組織を壊滅させることができる。 背負った不幸と蠢く復讐心の両方を取り除くことができるのだ。 「つー訳で」 ゴキゴキと肩を鳴らし。 口元を不敵につり上げ。 辺りをブラブラと歩いている赤城真司はどこかにいるであろうライバルたちへこう告げた。 「俺のために死んでくれ」 単純な殺し合いが始まる。 チンケなゲームのように強化された挑戦者たちによる、己のための単純な殺し合いが。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加