アイスの賭け

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私は彼の腕の中。 自分のいるべき場所で幸福感に満ちていた。 薄暗い天井を二人で見つめ、私たちの故郷を思い出していた。 「奈々…。長野は星がきれいだろ?」 「うん。すっごく綺麗だよ」 「こっちにいたら星だか塵(チリ)だかわかんねえよ」 「星は塵で…塵は星だよ」 私は彼にカラダを一層寄せた。 「直人くん…。今度長野に帰ってきたら、一緒に星、見ようね」 「だな。これから寒くなるし、きっとめちゃくちゃ綺麗だろうな」 「うん。絶対きれいだよ」 「そしたら…その星を持ち帰って、ウサギ小屋を星でいっぱいにするか…」 「…賛成…」 二人は何もない天井に同じものを描いていた。
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