アイスの賭け

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直人くんは私を自分のカラダに入れ直し、力強く抱きしめる。 「…奈々。長野とここを行き来して、この小屋が星でいっぱいになったら…一緒に暮らす?」 …え? 声にはならなくて、私は表情でそれを伝えた。 「…一応…プロポーズ。俺…奈々といたいから」 孤独を纏(マト)った彼の眼差し。 「…私も。ずっと…一緒にいたい」 直人くんはどこかホッとしたように力を抜いて笑った。 「奈々の周りでは友達が『マイホーム』とか言ってる時に、うさぎ小屋でも大丈夫か?」 直人くんはくすくす笑った。 『マイホーム』 確かに周りの既婚者の中にはそれを夢見ている人もいる。 それが自慢な人もいる。 …それが自分の居場所だと思ってる。 直人くん 私は箱の大きさなんかで自分の居場所を決めたりしない。 私の居場所は… あなたよ。
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