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「じゃあ、またね」
大きな目を細めて、並びの良い白い歯を見せる。
ふくっと膨らむ頬はいつも、ほんのり赤らんでいた。
「またね」という言葉が当たり前だった。
明日も僕たちは出会って言葉を交わし、手をつないで、キスをする。
それを、冗長とは言わない。
付き合っていても、24時間すべてをともに過ごすわけではないから。
同じものを見ていても、彼女と僕とでは感じかたも捉えかたも違う。
ときどきは、意見の不一致にむっとしたりもした。
だけど、僕たちはうまくいっている。
そう信じて疑わなかった。
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