第12話 小田切基道編①

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「じゃあ、またね」  大きな目を細めて、並びの良い白い歯を見せる。  ふくっと膨らむ頬はいつも、ほんのり赤らんでいた。 「またね」という言葉が当たり前だった。  明日も僕たちは出会って言葉を交わし、手をつないで、キスをする。  それを、冗長とは言わない。  付き合っていても、24時間すべてをともに過ごすわけではないから。  同じものを見ていても、彼女と僕とでは感じかたも捉えかたも違う。  ときどきは、意見の不一致にむっとしたりもした。  だけど、僕たちはうまくいっている。  そう信じて疑わなかった。
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