第13話 小田切基道編②

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「お待たせしました」  ちょうどサイトの画面を閉じたとき、千華子さんが戻ってきた。 「いえいえ、行きましょうか」  千華子さんはエスカレーターに向かって歩き出した。  ふと、右手側にある階段に目をやった。通路から、階段を歩く買い物客たちを見ることができる。  そのなかで、下へ降りていく女性が目に留まった。  パステルグリーンのスプリングコートを着た、茶色いセミロングヘアの女性。一重まぶたにぱっちりとした目。  あれは。 「すみません」 「えっ、え、小田切さん!?」  僕は通行人を避けながら階段に向かった。  女性はこちらに気付かない。颯爽と階段を降っていく。  あの横顔、小橋悠理にそっくりだ。
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