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「お待たせしました」
ちょうどサイトの画面を閉じたとき、千華子さんが戻ってきた。
「いえいえ、行きましょうか」
千華子さんはエスカレーターに向かって歩き出した。
ふと、右手側にある階段に目をやった。通路から、階段を歩く買い物客たちを見ることができる。
そのなかで、下へ降りていく女性が目に留まった。
パステルグリーンのスプリングコートを着た、茶色いセミロングヘアの女性。一重まぶたにぱっちりとした目。
あれは。
「すみません」
「えっ、え、小田切さん!?」
僕は通行人を避けながら階段に向かった。
女性はこちらに気付かない。颯爽と階段を降っていく。
あの横顔、小橋悠理にそっくりだ。
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