第13話 小田切基道編②

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 きょとんとした僕に対し、千華子さんの頬が赤くなる。 「いや、あの、こちらで出会えたのも何かのご縁かと思って」  気まずそうな表情に、僕は吹き出しそうになるのを堪えながら、 「いいですよ」  と答えた。  千華子さんの表情が明るくなる。  僕はポケットから携帯を取り出そうとした。  そのとき。  ……?  携帯はチノパンの右側のポケットに入っている。いつも右手で取出し、右手で操作するからだ。  けれど。 「……?」  おかしい。  なぜ、右腕が動かない? 「小田切さん?」
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