Sur: Regreso al Amor

5/8
120人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
ソラは依然音楽に合わせて気持ち良さそうに揺れている。 ワインのせいか、薔薇色に上気した頬が愛らしかった。 ソラには、このチェロの響きはどう聴こえているのだろう。 ソラの藍色の瞳が恋しくて、悟は彼女の肩に手を置いた。 「ねえ」 急に下から覗き込まれ、悟は息を飲んだ。ソラの眼の色は、異国の夜空のようだと思った。 「男の人もこんな風に泣くことがあるのかしら」 チェロの音色はうねるように高低を繰り返し、哀切を奏でている。 「俺はそんなに強くはない」 悟は生まれて初めて女に本心を打ち明けた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!