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各務 悟は月曜日の夜、女を拾った。
マンションのゴミ捨て場と隣地との境に立つフェンスの僅かな隙間に、何か白っぽいものがうずくまっているのが見えた。
繁華街にほど近いこの場所では、たまに見る光景だ。
悟も、酔い潰れて正体を無くした大人や遊び疲れた子どもたちがそうして夜を明かすのを何度か見ている。
いつもなら、ただ黙って通り過ぎたはずだ。
よっぽどのことがない限り死ぬこともない。
それが、今日だけは素通りできなかった。
それは、およそこの場所には不似合いなまだ年若い女だったからだ。
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