第14話 小田切基道編③

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【あなたが探偵になった理由を教えてくれたら答えるわ】  ……どうしてそんなことに興味があるんだ。  隣で彩美は頬杖をつき、にっこり微笑んでいる。僕は小さくため息を吐き、寝そべったまま、長い文章を打った。 【大学生活最後の冬。友人が頼みごとをしてきました。友人の彼女が浮気をしているかもしれないから、調べてくれって。最初は断りましたが、どうしてもと言うからしぶしぶ引き受けたんです。  友人の彼女を尾行している最中に、偶然、麻衣子がほかの男と歩いているのを見つけました。僕は、友人の彼女と麻衣子、2人の女性の浮気を調査することになりました】  友人の彼女も、麻衣子も、相手の男と寝た。  友人の彼女と浮気相手が、男の車のなかで行為に励むところを写真に撮った。昼間からやっていた。  車のフロントガラスが不規則にくもり、最後には真っ白になる前に。  感情を押し殺して、淡々とカメラに収めた。  麻衣子は、夜、男とホテルに入っていった。相手は、どう見ても僕よりもずっと年上の男だった。  僕は、麻衣子と男の写真は撮らなかった。
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