第1話

11/14
前へ
/15ページ
次へ
「一度、楽になろうか」 「え……先生?」 朦朧とした意識の中で言われた言葉は理解出来ない。 ぼうっとしている内に、足の上から降ろされた。 するりとどこかへ行こうとする先生を追おうにも足がふらついて、 診察台にもたれるように手を付いた。 視界から消えた先生の気配はデスクの方へ。 意味が分からない。 一時休憩? それとも終わりってこと? ――『もう、止まらないよ』って、先生が言ったクセに。 なんでだよ、ここまでしておいて。 放置してどっか行くなんて。 疼いて、切なくて、惨めで。 泣きたくなった。 「――なっ」 それは、突然。 突然戻ってきたから、焦って膝が震えた。 背中から包み込むように抱きしめられて、 うなじに感じる吐息 手は胸を、わき腹を優しくなぞるように掠めて ざらりとした舌の感触が肩から、 背中、腰 どんどん下へ降りてくる熱。 内腿を撫で上げられて、快感に足の力が抜けた。 ふらついた腰を後ろから支えられる。 熱く脈打つモノを握られたのと、 後ろに得体の知れない気配を感じ取ったのはほぼ同時だった。 「な……せん、せっ」 「楽になりなさい」 「やめ、汚――ッ」 前を弄られながら、 同時に後ろに感じるのは 先生の熱い息と、ソコに這う舌の動き。 既に限界に近かった俺が、 耐えきれるはずがなかった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加