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頭の上で拘束されていた手首が、不意に解放された。
先生は泣きそうな顔で笑って、
さっきまで俺を抑えつけていた手で頬を撫でた。
「先生……、好きだ」
もう一度、今度ははっきりと自分の意思で。
そう伝えた俺に、優しいキスが降ってきた。
触れるだけのキスを落として鼻先をくっつけたまま、
至近距離で目線が絡み合う。
先生は何にも言っていないのに、
なんでか、
愛されている気がした。
「――君、初めてだろう」
慈愛に満ちたような穏やかな表情は一瞬で、
至近距離のまま紡がれた質問に俺は思わず眉を寄せた。
ふざけんな、童貞なわけねえだろう。
――言う前に、その質問の意味に気が付いた。
「君が煽ったんだ」
「は……なに……」
「もう、止まらないよ」
寒気がした。
そうだ、男同士だから。
煽った、俺が?
いつ。
『先生……、好きだ』
あれ、が?
どくんと今までにない大きな鼓動が打った。
先生は未だに口にしてくれないのに
愛されている、気がしてしまうんだ。
立ち上がった先生が、自ら裸になった。
露になったモノは先生が俺で興奮してくれたことを示していて
たまらなく嬉しくなる。
ぞわりと鳥肌立ったはずなのに
寒気はいつの間にか、熱に変わった。
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