シュウライ

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いくら大人ぶっていても彼は18歳の高校生。 なんだか無性にそんな彼が可愛く思えると同時に、やっぱり10歳も年下なんだな、と、心の隅で落胆したのも確か。 ひとしきり笑いあって、笑いが途切れると沈黙が訪れる。 掛け時計の秒針の音がやけに大きく聞こえる。 沈黙の中、彼は徐にソファーから立ち上がると、床に敷かれたモスグリーンのラグの上に座っている私の隣にチョコンと腰を下ろす。 そして甘えた声で言うんだ。 「ももちゃん、抱っこ」 と。 いやいやいやいや、いくらなんでも抱っこは無理でしょう。 実際のところ、先ほどからの彼のあり得ないくらい可愛い所作にノックアウト寸前の私。 私の胸キュンボルテージなんて振り切れそうなくらい傾いている。 黙り込んでいると、息をはぁはぁと苦しそうに切らせた彼は、ポスンと私の胸元に頭を落とし寄りかかってきた。
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