シュウライ

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私の胸の中で、上目遣いでそんな風に甘えられたら完璧ノックアウトだ。 「き、今日は熱があるから特別だからね」 すると、彼は小さくフッと笑いを落とし、「ありがと、ももちゃん」と言って、私の胸にさらに深く顔を埋めた。 ゴロゴロとまるで子猫のように私の胸に顔を埋める彼に視線を落としながら、私は自分が言った言葉によって彼の言葉を思い出していた。 "熱があるから特別だからね" "ももちゃんは特別だから" 彼は何故、私が特別なんだろう。 考えても考えても答えに導けない難問。 養護教諭だから、特別。 10歳も年上だから、特別。 それとも…… 好きだから……、特別。 それとも、ほかに理由があるのかな。 彼が来るまでずっと気になっていて、ずっと答えを聞きたかったのに、実際にこうやって私の中で小さく蹲る(うずくまる)彼を見ていると、核心は何も聞けない臆病な私。
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