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色々考えすぎて、彼じゃないけど私まで熱が出てきそうだ。
「ももちゃんの鼓動が速い」
そんなの時、ポツリと彼が言って私を下から見上げてくる。
彼に鼻の中を見られたくない私は、仰け反るように首ごと顔を横に逸らして慌てて返した。
「そ、そんなことないわよ、自分の鼓動と間違えてるんじゃないの?」
「ふふ、そうかもね」
そんな私の心境を知ってか知らずか、彼は優しく笑って言葉少なげに頷いた。
……何さ。
余裕ぶっちゃってさ。
私だけ、こんなにドギマギして頭ん中ごった返してて、それなのに彼はいつも余裕綽々でさ。
私は、完っ全に彼の手の中でコロコロコロコロどんぐりこ状態だ。
不甲斐なさすぎる。
尚もそっぽを向いている私に再び彼がふんわり甘い声で言う。
「ももちゃんのここ、気持ちいいなぁ」
そして、私の胸元で小動物のようにモゾモゾと動き出す。
「ちょっ、ちょっと、あんまり動かないでよ」
こっちまでモゾモゾしてくるじゃない!
と、密かに心の中で続けると、
「あー、ももちゃん、まさか……」
未だ三時の方向を向いたままの私には、ニヤリとほくそ笑む彼の表情は見えていなかったが、"まさか"の後に来るであろう言葉にゴキュリと喉を鳴らして、
「感じてないわーーーーー」
と、大声を張り上げ立ち上がった。
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