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私がいきなり立ち上がったことで私に寄りかかっていた彼は、寄りかかっていた態勢のままコテンとラグの上に転がった。
そして、その態勢のまま静止して動かない。
膝を抱えて丸く蹲ったままピクリとも動かない。
え?
「あ、相川君……?」
立ち上がったその場から、弱々しく呼んでみても返事はない。
「ちょっと、相川君大丈夫?」
慌ててラグに膝をつき彼の肩を揺さぶると、彼の肩が小刻みに揺れているのを感じた。
震えてる?
そうだ、すっかり忘れていたが彼は熱があったんだった。
「やだ、ちょっと相川君ってば、だいじょ……」
「ぷ、ぶははははははは」
蒼白顔の私をよそに、彼はその顔に似つかわしくない頓狂な笑い声をあげた。
「へ……?」
拍子抜けで固まっていると、まさに腹を抱えて笑い転げている彼は笑いながら器用に言った。
「ももちゃん、可愛すぎるから……プフッ」
"可愛すぎる"というフレーズに悪い気はしないが、なんか腑に落ちない私は口は緩みながらも眉を顰めて、それこそ器用な表情で彼に聞いた。
「何が?」
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