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「だって、感じてたんでしょ?」
それはもう悪魔のような笑顔で彼が言った。
「だからっ、感じてなんかないってば」
言いながら、ぽぅっと頬が紅潮しているのが分かった。
それを見逃さない彼は、
「はーん、感じてたんだー」
と、顎を触りながら私を悪戯眼で見つめてくる。
「感じてないってば、しつこいっ」
握る拳に力を込めてヤッキになって言うが、彼はというと、
「あはは、だからももちゃんはツボなんだよなぁ」
と、ポンポンと私の頭に手をやる。
こ、こいつめ。
からかって楽しんでやがる。
「もう、知らない、勝手に言ってなさい」
プイッと彼に背を向け立ち上がろうとすると、彼は私の腕を掴み引き寄せた。
気が付くと、私はすでに彼の腕の中。
背後から腕を回し私の胸の前で交差すると、きつく抱きしめてくる。
保健室での、あの時のように。
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