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――彼が私を「先生」と呼んだ日から一週間が経ち、それから彼はパッタリと保健室へ来なくなった。
私はというと、毎日欠かさなかったフェイスパックと口紅の下のリップをしなくなっていた。
毎晩ベッドに入ると、あの日彼が言った言葉が思い浮かんでしまって、なかなか寝付けない日々が続いた。
「ももちゃんは特別」
「遊びなんかじゃない」
その言葉の意味がずっとわからずにいた。
いつだったか、私の背中で見せた涙は何だったのか。
彼が「先生」と呼んだとき、瞳が揺れていたのは何だったのか。
ひとしきり考えたが、答えが出ることはなかった。
だって、彼には彼女がいる。
あっちが本命なら、私は「遊び」ではないのか。
彼が来なくなったことが、何よりの答え。
私のことは「遊び」だった。
それが答え。
彼が来なくなってからの数日、保健室の扉が開くたびに期待をしてしまう自分がいたが、それも今ではなくなった。
今までの日常に戻ったのだ。
ただ、それだけのこと。
頭ではわかっているのに、気持ちに区切りをつけれずにいる自分がいた。
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