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私の首元に回された腕を振り払いベッドの上に起き上がると、彼が私のスウェットの裾を掴む。
「だって寒いんだもん、ももちゃん暖めて?」
暖めてって。無理だから。そんな声で甘えられても困る。
「無理」
ベッドに横たわる彼の隣に座ったまま、私を上目遣いで見上げる彼に冷ややかな視線を向けて拒否を伝える。
「寒いんだったら布団もう一枚掛けてあげ……」
言いながらベッドから降りようとすると、再び彼に引き戻されてまたもや腕枕状
態。
極め付けには、私の耳に唇をあてがい耳たぶをハムハムして言う。
「ももちゃん、少しだけだから、お願い、一緒に寝よう?」
あー、もう。どうしたらいい?
グラグラ揺れ動く私の理性。
正直、ここまで甘えられて、彼が生徒じゃなかったら、私が彼の養護教諭でなかったら、とっくに貪り(むさぼり)ついている。
堕ちるとこまで堕ちているだろう。
だけど、私の木製で出来た薄っぺらい理性に歯止めをかけているのが、私自身の彼に対しての気持ちだ。
彼に堕ちたくない、ハマりたくない、という、ちっぽけなプライドと意地。
だって、そうじゃん、彼には彼女がいる。
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