シュウライ

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「ん~、ももちゃんの抱き心地やっぱりキモチー」 それなのに、彼の甘え攻撃は尚も続く。 耳を甘噛みしながら熱い吐息を吐く。私の首の下にある腕は折り曲げられて、私の髪の毛をすくいながら頭を優しく撫でている。 キモチーって……、気持ちよくなりそうなのはこっちだ。 「ももちゃん、一緒に寝よぉ、クゥーン」 空耳なのか、彼の言葉の語尾に子犬の鳴き声までプラスされて聞こえてきてしまう。 いよいよ末期症状だ。 ご無沙汰の私の薄い防御盾は、あと一突きもされればポッキリと壊れてしまいそうだ。 それだけは阻止しなければならない。 「相川君、こんなことしてたら彼女に怒られちゃ……」 疼く体に歯止めをかけるため、現状打破のため、現実に目を向けるため、覚悟を決めて言いかけた言葉を阻止するように、彼は私に覆いかぶさり言葉ごと彼の唇の中へと吸い込まれていた。 「ん、ちょっ」 力強い掌に後頭部を押されて顔を背けることも許されず、感じやすい口内を嘗め回されて、微妙な強弱をつけて舌を吸われる。 彼の巧みな舌技に、抗う力さえもストーンと抜け落ちていく。
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