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きいいいやあああああああーーーーーーーーーーっ!
こんな姿見せられない!
って、もう見られちゃったけど……と、とにかく、これ以上は無理!
心の中で絶叫して、パニックで酸欠状態の私は慌てて玄関を閉めようとした。
が、扉の隙間から彼の足がスルリと扉と壁の間に割り込んできた。
彼の足を潰さない限り扉は閉まりそうにない。
少し落ち着きを取り戻した私は、10センチほどの僅かな隙間が開いたまま彼の足に向かって話しかける。
「何の用?」
落ち着きを取り戻してくると、再び彼に対して苛立ちが沸いてくる。
”ももちゃんは特別だから”
なんて、期待させるようなことを言ったくせに、あれからパッタリと姿を見せなくなったくせに。
「ももちゃんにどうしても会いたかった」
扉越しに聞こえた声は、切なさを漂わせた声色だった。
……ももちゃん、か。
あの時は、「先生」って言ったくせに。
「だから?」
こんな返しをするのは、意地悪だと思った。
でも、これでまた扉を開けてしまって彼を中へ招き入れることが、私は怖かった。
私の心の中へ招き入れるのが怖かったんだ。
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