シュウライ

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温かい。 その手は、冷え切った心が溶かされそうになるぐらい温かい。 凄く、温かい。 ……って、熱くない!? 彼の手、異常に熱くない!? 熱がある……? 彼の手が異常に熱いことに気付いた私は、勢いよく扉を開け目の前に現れた彼の額に手を伸ばす。 やっぱり。 だから顔が赤かったんだ。 「熱があるじゃない」 「え……まじで?」 他人事のようにキョトンとしている。 はぁ、もう。 "一人の女"である前に"養護教諭"である私が、熱がある生徒を締め出すわけにはいかないじゃないか。 「少しだけ休んでいきなさい、入って」 落胆しながらも、私は扉を大きく開き彼を部屋の中へと招き入れた。
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