124人が本棚に入れています
本棚に追加
テレビもついていない静かな部屋で互いに無言でコーヒーを飲み終えると、彼が私の手からサッとカップを取り、自分のカップと一緒にキッチンへ片づけに行く。
慣れた足取りでキッチンへと向かう彼の背中を、アホみたいにあんぐりお口を開けて呆然と見つめる。
……なんか、違和感。
これじゃ、まるで本当に恋人同士みたいじゃん。
実際は、浮気相手なのに……、いや、生徒と教諭の関係なのに。
軽快な足取りで戻ってくると、彼は「そうだ、ももちゃん、シャワー貸して」と、声を弾ませる。
「え?なんでよ」
シャワーという単語に過剰に反応する私。警戒スイッチが入る。
「だって、汗沢山かいちゃったから気持ち悪くて」
着ているロンTの襟元をパタパタはためかせて眉を顰めている。
あ、そっか。
確かに、あれだけ熱があれば汗も沢山かいただろうね。
「いいわよ、廊下の一番手前の右のドアがお風呂だから入ってらっしゃい」
リビングのガラス扉を顎でしゃくると、彼は「ありがと」と言ってリビングを出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!